はじめに言葉ありき
 昨今のゲーム業界におけるグラフィック表現はドット絵から3Dに移行し、ポリゴン全盛の
世になって久しい。職能的なドット絵は極めれば高度な表現も可能だが、手間がかかる
割には描いた物しか表現できず、自由に描画できるポリゴンには到底かなわないのが
現状であり、業務用ではシリーズ物の対戦格闘以外はほぼ全滅で、機能的に制約の多い
ゲームボーイ等のハンディ機で細々とドット絵が打たれているのはゲームに詳しい方なら
ご存知の通りである。筆者も98年までは某社系列の外注に在籍し、色々とドット絵を打って
いたのだが、ドット絵も随分斜陽の時代に入った物だ。

 と言うように時代は既に3D表現に移行してる訳だが、まだまだハードの制約が絡んでおり、
ハンディ機ではドット絵の技術は必須である。新型ゲームボーイはスーパーファミコン程度の
表現力を持っているとも漏れ聞いているので、ハンディ機ではますますドット絵の熟練が
必要になるであろう。ネットを見渡すと初心者向けのドット講座はなかなか多いが、職能的な
汚れテクをまとめた物は皆無なので、自らの職能を失わないためにも少しずつでもまとめて
行きたいと思う。筆者は主に業務用開発をやってきたのでそう言う方面の技術解説になると
思うが、コンシューマでもPCでも根本の基礎は同じなので各自応用して豊かなドット絵生活を
送って頂ければ幸いである。
この講座の主旨
 筆者が業務用開発の出身なので、塗りの系統はオウガバトルやRPGツクール等に
良く見られる”オウガ塗り”ではなく、写実的で硬質な塗り方を主に解説することなる。
具体的には下記のような感じになるだろうか。サンプルを参考にして頂きたい。
(これらはサンプルとして過去の仕事のイメージをドット絵で再構成したものである)

サンプル1 メカのようなもの サンプル2 写実的な街灯
サンプル3 縦シューの背景のようなもの

 写実的な物が描ければそれを応用してコミカルな物も描けるので、最初は基礎
固めとしてリアルな物を描くように勤めて欲しい。基礎あっての応用である。
ちなみに解像度は一般的な業務用の解像度320*240を標準として話を進めたい。

 過去のMAG絵のように16色しか使えなかった当時ならいざ知らず、多色環境が
当然の業務用やコンシューマでのドット開発では640*480は細か過ぎて無駄が
多いのだ。ドットが細かいため誤魔化しも容易だし、手間も4倍かかるので当講座
ではスパルタの意味も含めて逃げ場を無くしたい。粗いドットでも的確に表現できる
ことも目標なので是非頑張って頂きたい。上のサンプルも320*240がベースである。
作画ツールについて
 ドット絵を打つにあたっては下記の機能を有するグラフィックソフトがあれば事足りる。

 (1)ルーペ及び、キャラの拡大縮小表示
 (2)256色のパレット(16色が16本分)
 (3)アニメーション機能

 基本的にはこれだけあれば大丈夫である。根性と気合さえあればWindows添付の
ペイントでも出来ない事は無いしPhotoshopでもドット絵は可能だが、いかんせん効率が
悪いので、フリーで出回っている256色専用のドットツールを使うことをお奨めしたい。

 (3)のアニメ機能は当Webトップにあるさくら姫のGIFアニメなどを作るには必須の機能
なので「俺は2パターン歩きじゃ満足できねぇ、無駄に動くのが作りたいんじゃぁ」という
頼もしい方にはアニメ機能が充実してるツールが望ましい。現状では「D-Pixed」
最も一般的なのでWin環境ではこれをお奨めしたい。

 ●D-Pixed:DOIchan!'s HomeStadium


 では用意が整ったら第一章から始めよう。

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